name: gbs-infra class: title, smokescreen, shelf, no-footer # <small>ITインフラの学習方法(セミプロ向け)</small> --- name: digest-begin class: compact # <small>ITインフラの学習方法(セミプロ向け)</small> <div class=footnote> <small> (脚注1) もう少し詳しい解説は <A HREF="/slides/columns/proj/gbs-infra/">[こちら]</A> を参照 (脚注2) AWSサーバ構築ガイドは普通の技術書や技術雑誌のスタイルなんですが、 「確かにサーバを作れるようになるけど、さっぱり分からない」と言われ「えっ!?」って目をしているワイ。 (プロには)しろうとさん何が分からないか?が分からない状態なので当事者に期待なのね </small> </div> - セミプロ(エンジニア予備群)むけ ([初心者向け](../mr-infra/)とは別枠に考えてます) - 専門課程の大学生〜駆け出しの社会人(3年目くらいまで)を対象として想定 - [背景] クラウドの流行で「失われた技術」あつかいのITインフラですが、 **長いあいだ技術者として最前線でいたいなら**、 [きちんと**基礎から積み上げるべき**です](../policy/#summary) - [上のリンク](../policy/#summary)より抜粋: (...本にない)実作業の仕方,技術の背景や歴史的文脈 - 技術知識は本や雑誌を読む=各自がんばる、これは大前提 - 単なる知識の習得では伝わない何かを伝えるには? 伝統工芸(e.g. 陶磁器)の弟子入りみたいな話ですけど、 その**修行プロセスを加速/支援する方法**があるのでは? - [方針] **教材自体の開発/工夫** + **ITインフラ演習を支援するシステム**の開発か? --- name: digest-end name: how-to-train class: title, smokescreen, shelf, no-footer # もう少し詳しい解説<br><small>セミプロ向け演習方法の改善</small> --- class: compact # インフラ構築法を学ぶ意義があるのか? <div class=footnote> <small> (脚注) Q: 資格->収入増? A: インフラ系の資格、代表例はCiscoのCCNAやLPICに対して資格手当がつきます。 なお、資格手当はインフラ業界特有ではありません。 各業界ごとに、業界おすすめの資格にたいして手当があるようです。 例: 多くのIT企業で、基本情報などIPA系の資格にたいして手当がつく </small> </div> - Q: インフラ構築法を学ぶ意義があるのか?このご時世に? - A: いや、ある! 1. インフラがわかることはキャリアパスとして重要視されている - 特に「インフラも含む技術全般が分かる」ことは重要視されていて、 それはSREエンジニアの年収が高いことでも分かる 1. 上級エンジニアとして、 新サービスの企画やプロジェクト全体の設計に携わるにはITインフラまで含む広範な知識が求められる 1. クラウド全盛だからこそ、逆に(**長い目で見て**)技術者としての差がつくスキル - クラウドは全世界で共通ですから;-) (短期的にはAWS資格がチヤホヤされるとしても、長期的には) **AWS資格は自慢にならない**。 AWS操作なら、ギャラが安い国へ発注したほうがよい。 **日本人は不要**; 参考:[キャリアパス論(10分版)](https://unix-entrance.fml.org/slides/columns/career/intro/) - 使い方ではなく**技術の裏側の理解や上位層の設計や企画のレベル**で差別化される --- class: compact # クラウドの罠 <div class=footnote> <small> </small> </div> - もはや**失われた技術感のあるUnix操作法**ですが、**クラウドには必須** - かつて、Unix上で生活することが当たり前だった時代には、 情報工学科の授業で「UNIXプログラミング環境」を教科書にUNIX操作法を学んでいた (例:東京工業大学の5類,5類は情報工学科を含む電気電子系学科群)。 でも今はGUIのWindowsがデファクトスタンダードだし、 人によってはWindowsよりスマホのほうが得意でしょう。 - 一方、クラウドは管理コンソールこそブラウザで使えますが、 1. ネットワークの知識や設計,構築法の知識が無いと画面の各項目の意味がわからない (よってそもそも操作できないのが現実) 1. 詳細設定は突然UnixのCLI操作に突入します。 ここに断絶があるわけですよね --- class: compact # 腹落ちもしくは腑に落ちてもらうには? <div class=footnote> <small> (脚注) Q:ストーリーが大事? A:学術的には、ゴールベースシナリオ理論(GBS theory)だそうです:-) </small> </div> - **ストーリー性が大事なのでは?**と思うんだけどね(個人的見解なのは認めよう->脚注) - つまり、ストーリーのあるSTEP BY STEPの演習になっていてほしい - 今の人には**UNIX生活感がない**のだから、**それを追体験**させれば少しマシなのでは? - **全部おしえなくてよい** (たいてい教科書ではoptionsを一通り教えたがるけれど、 教えなくてよい。もともとoptionalなんだってば、それ;-) - 本当にコマンドとセットです!のoptionは教える、ただし**ストーリー/シナリオ次第** - 「manをみる」「manで分からないならググる」という**お作法**を教えるべき (**そういう演習問題を誘導できるストーリー/シナリオを考える必要がある**) - ダメな例なら、いろいろ言える - 「LPICの教科書」は出題範囲の知識を強引に覚えさせる書き方。 また、まったくの初心者を想定していない? いくらかUnix経験がある人が復習する想定に見える - イベントの類 e.g. ほげハードニング <br> (シナリオとしては)確かに現場の腕試し的な良い内容なのだけれど、 UNIX操作法がわかることは大前提なのに、 それをきちんと教える講座は用意されていない --- class: compact # 2022年度の案(科目「OS」が実験場) 1. 前半は大きく変更する - 知識編はVoDなので各自とりくむ(スライド、ビデオ、ELあり;中間試験あり) - 授業枠はオンラインで後半のための準備(演習)をおこなう - Unix操作の姿勢、こころがまえ、しつけ(?) (new! 担当:深町) - Unix操作編の基礎演習 - テキストを執筆 (new!) - 操作支援環境の開発 (new!) 1. 後半は基本的に2021年度と同じ - 第9回から最終課題の取り組みがスタート(第9回〜第14回は、すべて質問コーナー) - 変更点:テーマは自由に悩む;_;そうなので課題例を紹介(もちろん自由ok,歓迎) - 注: いろいろ春学期に準備済なので、2022年度の第9回は2021年度の第12回目相当 --- name: updates class: title, smokescreen, shelf, no-footer # <small>updates</small> <div class=footnote> <small> (脚注) このあとは動画になっていません。 おもに4年生用のメモです。 </small> </div> --- class: compact # 目標レベルの疑問 1. **学習法自体がイマイチなのでは? -> 改善できるか?** - インフラ学習法そのものの進化は進んでいないようにみえます - たとえば最新のソフトウエアデザインと30年前のソフトウエアデザインを見くらべください。 書き方のスタイルは同じに見えるでしょう 1. いまどきの若者は、学習方法以前に、インフラを勉強・修行したいという内発的動機(自己の中から湧き上がるモチベーション?)を持っていないように見える - (個人的には)未経験のものには興味を持てない理論ですが、そうでもない? - 外発的動機(インフラ部門の求人は常にあります、SREは最高のサラリーです)ではなく、 内発的動機のある人が増えてほしい - **どのようにすれば内発的動機をあたえられるか?** 1. **せめて興味をもってもらえるか?** - 100歩ゆずって内発的動機による学習意欲の向上とまでは言わない;_; --- class: compact # github issues を利用したコラボ <div class=footnote> <small> (脚注) github issues の利用は、(直接的には)オープンソース開発モデルの訓練を意図していますが、 民間企業の人材開発(L&D = Learning and Development)分野でも注目されています </small> </div> - Crowd Sourcing Training とか Crowd-Sourced Learning という用語で検索 - [クラウドソーシングトレーニングを人材開発で利用するべき10の理由](https://cognota.com/blog/10-reasons-crowdsourcing-training-needs-to-be-part-of-your-ld-strategy/) - [クラウドソースドラーニングとは?](https://cognota.com/blog/what-is-crowdsourced-learning/) - Crowdsourced Leaning とか Distributed Learning (分散学習?) と言えばいいっぽい - [歴史] 用語「クラウドソーシング」は[Wired (2006)の記事](https://www.wired.com/2006/06/crowds/)にはじまる - 参照: https://crowdsourcing.typepad.com/cs/2006/06/crowdsourcing_a.html - もちろんOSS開発モデルを他の分野にも!という気持ちがあった - 民間では、単に安く調達する手段(安い絵師とかライター探し?)に成り下がっている面があるけれど、 もちろん、我々は、そういう意味あいで使わない --- class: compact # github issues を利用したコラボの文献 <div class=footnote> <small> (脚注) 自律的学習: ... 個人が率先して ... だから、モチベーションの話も関わってくるよね(次頁へつづく) </small> </div> - [Constructing the Ideal Components of Crowdsourcing Platforms for Higher Education](https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/9701643) - [Understanding what determines university students’ behavioral engagement in a group-based flipped learning context](https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0360131521001676) - [Goal-oriented active learning (GOAL) system to promote reading engagement, self-directed learning behavior, and motivation in extensive reading](https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0360131521001160) - 絵本を読むという行為では、自律的学習(self-directed learning)の能力が重要な役割 - [Innovative Approach for Tertiary Education System: The Crowdsourcing Model](https://doi.org/10.1007/978-981-19-3112-3_5) - 高等教育においてクラウドソーシングモデルは非常によい(とロシアとカザフスタンの大学群で示された)(2022) --- class: compact # 文献: グループワーク、github、GEM評価法 <small> - [GitHubを用いたソフトウェア開発PBLにおける学習者同士の貢献可視化システムの開発](http://id.nii.ac.jp/1001/00197889/) - Azizah Zakiah, and Mohamad Nurkamal Fauzan, "Collaborative Learning Model of Software Engineering Using GitHub for Informatics Student," Proceedings of 2016 4thInternational Conference on Cyber and IT Service Management, 2016. - https://doi.org/10.1109/CITSM.2016.7577521 - Claudia Raibulet, and Francesca Arcelli Fontana, "Collaborative and teamwork software development in an undergraduate software engineering course," Journal of Systems and Software 144, pp. 409-422, 2018. - https://doi.org/10.1016/j.jss.2018.07.010 - Rita Francese, Carmine Gravino, Michele Risi, and Giuseppe Scanniello, "On the Experience of Using GitHub in the Context of an Academic Course for the Development of Apps for Smart Devices," Proceedings of the 21st International Conference on Distributed Multimedia Systems pp. 292-299, 2015. - [open access ?](https://www.academia.edu/55957382/On_the_Experience_of_Using_Git_Hub_in_the_Context_of_an_Academic_Course_for_the_Development_of_Apps_for_Smart_Devices?bulkDownload=thisPaper-topRelated-sameAuthor-citingThis-citedByThis-secondOrderCitations&from=cover_page) - Mark J. Macgowan, "A measure of engagement for social group work: The groupwork engagement measure (GEM)," Journal of Social Service Research, 23(2), pp. 17-37, 1997. - https://doi.org/10.1300/J079v23n02_02 </small> --- class: compact # モチベーション(動機づけ) <div class=footnote> <small> </small> </div> - 自分でやりたい=内発的 vs SREは給料いいよ、インフラおすすめ=外発的 - できるだけ外発的動機づけは回避したい - 外発的動機づけは長続きしない - [アンダーマイニング効果](https://www.hr-doctor.com/news/management/engagement/management_psychology_motivation-7?content=management_psychology_motivation-7)を誘起した場合、内発的動機づけも弱くしてしまう - よって講義の最初でキャリア話をしようと思ったが行わないことにする? - 内発的動機づけ - 1970年代にいろいろな理論が提唱されたが、決定打になるような理論は出なかった。 その後の内発的動機づけ研究は、Edward Deci の認知的評価理論(1975〜)を中心に展開されることになった - 参考文献 - R. M. Ryan and E. L. Deci, "Self-Determination Theory", The Guilford Press (2017) - E. L. Deci and R. Flaste, "人を伸ばす力 - 内発と自律のすすめ", 新曜社 (1999) - 内発的動機づけの歴史(レビュー論文, 1994までの歴史) - [鹿毛雅治「内発的動機づけ研究の展望」](https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/42/3/42_345/_article/-char/ja/) --- class: compact # モチベーション(言語学) <div class=footnote> <small> (脚注) ドルニェイは言語学習の人なので、routineは、たとえばNHKラジオ英会話を聞く習慣をつけることにあたります。 うちらの routine って... 毎日じぶんのサーバのblogを更新する習慣づけが、それに該当する? </small> </div> - 「サーバの操作法を習う」のは外国語を習うようなものじゃないかな? それなら言語学のモチベーション話を応用していいよね?(上の行との間に論理のギャップがある?) - ゾルタン・ドルニェイの「プロセス重視のモチベーション」は21世紀の有名な理論 - 「時間も忘れて何かに没頭する」ようなモチベーションの高まりを DMC (Directed Motivational Currents)と呼んでいる。 ジャンプ漫画の「おれのコスモが〜」? - DMC は短期間しか続かないけれど、 長期間におけるモチベーションの維持のメカニズムと本質的には同じなんだろうとドルニェイは考えているらしい - DMCの(重要な)側面 - 目標・ビジョン志向 - きっかけとなる出来事 - 促進する仕組み (routine 化と進捗の確認) - ポジティブな感情 --- class: compact # 書籍を散策(ダメな例) - 各章や節ごとに演習問題やクイズがついていても、何を意図しているのか?これができると(ゴールの)何につながるのか?が分からない - どの本を見ても、だいたいどの本もダメ - いくつかの例 - LPIC, LINUCのテキスト - 6日間で楽しく学ぶLinuxコマンドライン入門 - スーパーユーザーなら知っておくべきLinuxシステムの仕組み --- class: compact # 書籍を散策(シナリオとして優秀) - (こういう仕事をしているPiroさんが書いてるため)実話ベースだと思われます。そのリアルさがとてもよい - でも学生には難しすぎるらしいです。まぁ、これ実務感が全力ですからね... - シス管系女子シリーズ - シス管系女子1〜3 (旧版、今の版は次の2つ) - ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux コマンド&シェルスクリプト基礎編 - ITエンジニア1年生のためのまんがでわかるLinux シェルスクリプト応用&ネットワーク操作編 - ITエンジニア1年生のためのまんがでわかるLinux シェルスクリプト&コマンド 効率アップ編 (new!,2022/09発売)