class: compact # オープンソース運動 - おしながき - <div class=footnote> <small> <small> (脚注) 本来は開発全般の話題ですが、 他の講義では取り上げないでしょうから本講義で! 元々フリーソフトウエア開発屋(= これが専門)なので、 本気を出せば一ヶ月くらい話せると思うのですが、 涙を飲んで1/10くらいに圧縮してるんですよ </small> </small> </div> 1. おしながき(このページ) 1. 基本用語と代表的なライセンス - 試験範囲です(ここは基本情報でも試験範囲) 1. ~~オープンソース運動~~ - **試験範囲外** - ~~背景説明、歴史的展望を手短に (ここが超得意なのに;_;)~~ --- class: title, smokescreen, shelf, no-footer # 基本用語と代表的なライセンス <div class=footnote> <small> <small> <B>ライセンス</B>とは? ソフトウエアという著作物を使用する権利をユーザに与える(<B>使用権を許諾</B>する)際の約束事 </small> </small> </div> --- class: compact # 用語: license <div class=footnote> <small> <small> </small> </small> </div> <small> - **ソフトウエアは著作権法で保護される著作物**です。 著作権法は各国で制定されていますが、 ベルヌ条約により各国ごとの差異は、ほぼありません。 同じように適用されると考えてください - ライセンスとは、 ソフトウエアという著作物を使用する権利をユーザに与える (<B>使用権を許諾</B>する) 際のとりきめ・約束ごと・免責条項などです。 ユーザには、何ができて、何ができないのか?を定義しています。 本稿の文脈で特に重要なのは、複製・改変・再配布する際の条件になります - 商用製品には「ソフトウエアの EULA = End User License Agreement」という表現があります - これで分かるとおり、 **ソフトウエアは利用方法に同意(agree)するもの**です - 家電製品などは**所有権が移る**と考えているので、 普通に利用するもよし、 極論をいえば購入品を分解してもかまわない。 一方、ソフトウエアは、そういうことにはなっていません - ソフトウエアを所有できるわけではありません - いまはネットワーク経由でのインストールが多いでしょうが、 むかしは配布するために磁気テープやフロッピー、CD、DVDを使ったので、 ソフトウエアを所有している錯覚がうまれそうですが、 そういうことではありません(配布方法と使用・利用方法は別の話) </small> --- class: compact # 用語: copyright <div class=footnote> <small> <small> (脚注1) 知的財産権なかまの<B>特許</B>にはアイデアの要素が含まれていそうですが、 特許は自然法則を利用した考えに限定されます <br> (脚注2) なんでも侵害と文句を言うと進展が阻害されます(某***RACとか何様?)。 デューラーの例は最初から適切なことを言ってました。 似たような絵の題材は多数あるので、 アイデアの争点は却下の一方、 デューラーのマーク(意匠)までパクるのは侵害と認めた </small> </small> </div> <small> - **copyright**の翻訳が**著作権**になっていますが、この訳はミスリードを誘います - 日本語に「狭義の著作権」(著作財産権)という表現があり、 これが本来のcopyrightの発展形と考えられます (いまでは書籍以外にも拡張されてますけれど、本来のcopyrightの発展形) - 著作権の話は「著作物のオリジナリティorアイデア」と、 そこから派生する利益の話?という雰囲気を感じますが、 たいていアイデアは争点になりません。 [最初の著作権裁判](https://unix-entrance.fml.org/slides/web/intro/#trial-duerer)と言われる画家デューラーの裁判でも、 絵画のアイデアの盗用が否定された一方、 意匠権侵害は認められました - 文字どおり読めば「コピー(する際)の権利」の話をしています - 最初に大量生産を行えるようになったものは、 木版画や銅版画を利用した版画と本でしょう。 15世紀後半になるとGutenberg革命により本の印刷は大きく進展します。 今風にいえば(出版社というよりは)印刷業者に複製許可を出し、 書籍発行の見返りに著者が印税をうけとれる時代になったのです - (書籍大量生産可により)**利益を生む大元を作り出した人の権利を保護するようになった**と言えます - これ以前はコピーのコストが高すぎて、 そういう発想が育たなかった(複製=写本しかないから) </small> --- class: col-2,compact # 用語: フリーソフトウエアとオープンソース <div class=footnote> <small> <small> (脚注) 英語のfreeには「自由」と「無料」両方の意味があることが諸悪の根源です。 ラテン系のlibreという形容詞には「自由」の意味しかないので、libreを使おうという提案もありますが、 一部のソフトウエア名以外では広まっていませんな e.g. libreoffice, libressl </small> </small> </div> <small> - オープンソースの話題で取り上げるもの - **フリーソフトウエア**(1980年代なかば〜) - free software (**自由ソフトウエア**) - ソフトウエアのソースコードを読み、研究、変更、改良、再配布する**自由** - **オープンソースソフトウエア**(1998〜) - opensource software (OSS) - フリーソフトウエアの言い換え(だいたい同じ)。 「ソースコードが**オープン**」 なんですよ〜と企業に営業トークするための**マーケティング用語** - OSSの定義のほうが広いので、OSSはfree software概念を含むと主張している <wbr> - とりあげない話題 - **パブリックドメイン** - 著作権を放棄したとあつかわれるもの (ただし、みな法的手続きとして正しい処理をしているのか?は怪しい) - フリーウエア、フリーソフト - たいていは無料(free of charge)のソフトウエアを意味する用語。 商用インターネットではなく、 パソコン通信などでよく見かけた用語 </small> --- class: col-2,compact # 代表的なライセンス: BSD-like Licenses <div class=footnote> <small> <small> (脚注1) BSDライセンスは細かく分けると、 時代によって4条項,3条項,2条項があります、いまは2条項に変更しようキャンペーン <br> (脚注2) J.H.Saltzer, "The Origin of the MIT License", IEEE Annals of the History of Computing, vol.42, no.4, pp.94-98, (2020) </small> </small> </div> <small> - 著作権を放棄しないかぎりで一番ゆるいタイプのライセンスだと思います - ものすごく簡単にまとめれば、 「次の(少数の)ライセンス条項に同意してくれれば、好きに使ってokです」 という制限が少ないライセンス - 再配布時には、ライセンス条項をそのまま残して再配布しなればならない - 著作権者,年の表記をすること - 動作は無保証(免責条項) <wbr> - これは産業界にも受け入れやすい ... BerkeleyやMIT由来っぽいところ?そんな気はします - 次のライセンス群の文言は微妙に異なりますが、ほぼ同義のライセンスと考えられています - BSD - MIT - Apache </small> --- class: compact # 代表的なライセンス: GNU GPL (General Public License) <div class=footnote> <small> <small> (脚注1) GNUは「ぐにゅー」と発音します(英単語の動物GNUは「ぬー」) (脚注2) <A HREF="https://www.gnu.org/philosophy/philosophy.html"> www.gnu.org/philosophy/philosophy.html </A> </small> </small> </div> <small> - 著作権法は著作物の流通をコントロールできます。 これを逆手にとり 「**ソフトウエアを再配布する際、ソースコードの同梱を必須**」 とする制限をかけます。 <small> これは**著作権法のコペルニクス的転回**と讃えられました - たいていの契約は著作複製権をたてにとり 「再配布するなら金を払え」なのですが、 ここを**逆転**させ、 「再配布の阻止を禁止する」 形態も可能と気づいたところが**コペルニクス的大転回**なのです </small> - おおむねBSDライセンス+重要な追加点と考えてokです。追加点は 「ソースコードを**変更して(有料/無料を問わず)再配布**する場合、 **ユーザから『ソースコードを見たい』と要求された場合、 ソースコードを開示する義務**がある」 という条項で、 GNUの唱える**自由**を実現するため(以下の引用(脚注2より)) - [GNU](https://www.gnu.org/philosophy/philosophy.html)の主張する**4つの必須の自由**とは (詳細は[こちら](https://www.gnu.org/philosophy/free-sw.html)): <br> (0) プログラムを実行する <br> (1) ソースコード形式でプログラムを研究し変更する <br> (2) そのままのコピーを再配布する <br> (3) 改変した版を配布する <small> >おおよそで言うと、そのソフトウェアを、実行、コピー、配布、研究、変更、改良する自由を利用者が有することを意味します。ですから、「自由ソフトウェア」は自由の問題であり、値段の問題ではありません </small> </small> --- class: compact # GPL違反のケースと誤解、ただのり問題 <small> - GPLのソースコードに改良を加えた場合、**そのソースコードを公開する必要がある**ので、 GPLウィルスとか**GPL汚染**とか揶揄されることがあります。 よく誤解される部分です。 次の典型的な使い方のうち、 ソースコードが非開示=ライセンス違反と断定できるのは(d)のケースだけです: <br> - (a)ソフトウエアを実行 - (b)ローカルな複製、改変 - (c)社内での複製、改変 - (d)**社外への再頒布(有料/無料問わず)** - ケース(c)は、**ただ乗り問題(free ride)**と関連します - 命題「**クラウドサービスは(単なる)社内利用か?**」は未解決問題です - 根っこはGNUが80年代にクラウドサービスを予見できなかったからですが... (それは無理だろう) - とはいえ、 フリーソフトウエアがなければクラウドは作れませんでした (起動しているOSの数でライセンス課金されたら怖くてクラウドなど作れません)。 長年批判されていますが、 多数のOSSを利用して国家予算なみの利益をあげるGAFAMは社内利用だと言いはっています (**劇怒**) </small> --- class: title, smokescreen, shelf, no-footer # ~~オープンソース運動~~ <div class=footnote> <small> <small> (脚注) これ以降は中間試験の範囲外。 スライドから分離して、こちら(準備中)へ移動しました </small> </small> </div>